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黒矢が目を覚ますと、ベッドの上だった。
ベッドサイドのぼんやりとした明かりだけが、黒矢の顔を照らしている。
暗すぎて何も見えないほどでは無かった。
二人して果ててしまった後、余韻に浸っていておそらくそのまま寝てしまったのだ。
汚れてしまったであろうシーツは取り替えられていたし、黒矢の身体も、すっかり綺麗になっていた。
黒矢は、寛貴の大きいパジャマの上着を着せられていた。
「寛貴……?」
呼びかけても返事はない。が、遠くから水音がするのでおそらくシャワーを浴びているのだろう。
黒矢は今一度目を閉じて、まどろんだ。
未だ身体の奥には寛貴の熱が感じられるような気がして、人知れず頬を染めた。
急に恥ずかしくなって黒矢は、両手で顔を覆う。
その時に気付いた。手と顔に何か堅いものが当たった気がした。左手の薬指。
「え……?」
気付けば、見た先にはきらきらと光を反射して輝く指輪が、はめられていた。
自分で付けた覚えはない。
「…………?」
指輪が、こんな大事な指にはめられている。しかし自分は付けていない、という意味の通らない状況に、黒矢はどうしようもできない。
「黒矢……? ああ、目ぇ覚めたのか」
唸りながらもどうにか話を繋げようと考えていると、寛貴が音もなく部屋に戻ってきた。
上半身は裸のままで、首にタオルを掛けていた。
ベッドの傍までくると、黒矢の顔の上に掲げられた左手に気付いた。
「あぁ、それな。俺からだよ」
「寛貴から……?」
寛貴は少し微笑んで、黒矢の左手をとった。
「クリスマスプレゼント。サイズはぴったりだったみたいだな」
そう言われれば、指輪は確かに薬指にぴったりと嵌っていた。
「あ、ありがとう……」
「喜んでもらえて嬉しい。あ、後でチェーンもやるな。学校ではそれに付けてネックレスにしたらいい」
「うん。……あ、俺も、寛貴にクリスマスプレゼントあるんだ」
喜んでいるうちに、自分からも用意してあったのを気付いて、寛貴に、部屋の隅に置いてあったバッグを取って貰う。
「んと……、あ、あった。えと、これなんだけど……」
起きあがってバッグの中を探せば、すぐに見つかった。袋に入れてあったそれは、クロスのネックレスだ。
「寛貴って、シルバーアクセが似合いそうだったから、選んでたんだ」
黒矢はにっこり笑って、袋から取り出したそれを寛貴に手渡した。
「ありがとう……。本当に嬉しい。……付けても、いいか?」
寛貴が聞けば、黒矢は頷いてみせる。寛貴は、自分の首にそのチェーンをまわして、付けてみせる。
「似合うか?」
ちり、と軽い音を立てて揺れたクロスは、寛貴の首すじに良く映えていた。
「うん。……寛貴、有り難う。俺、左手の薬指にはめて貰ったの、すごい嬉しい」
「……そう言う意味にとって、いいのか?」
「もちろんっ! ……むしろ、こっちからお願いしますみたいな……」

「メリークリスマス、黒矢」
「メリークリスマス、寛貴」
二人は、聖夜に口づける。
神に誓い合う中では無いけれど、聖夜に感謝。