6 黒矢が目を覚ますと、ベッドの上だった。 ベッドサイドのぼんやりとした明かりだけが、黒矢の顔を照らしている。 暗すぎて何も見えないほどでは無かった。 二人して果ててしまった後、余韻に浸っていておそらくそのまま寝てしまったのだ。 汚れてしまったであろうシーツは取り替えられていたし、黒矢の身体も、すっかり綺麗になっていた。 黒矢は、寛貴の大きいパジャマの上着を着せられていた。 「寛貴……?」 呼びかけても返事はない。が、遠くから水音がするのでおそらくシャワーを浴びているのだろう。 黒矢は今一度目を閉じて、まどろんだ。 未だ身体の奥には寛貴の熱が感じられるような気がして、人知れず頬を染めた。 急に恥ずかしくなって黒矢は、両手で顔を覆う。 その時に気付いた。手と顔に何か堅いものが当たった気がした。左手の薬指。 「え……?」 気付けば、見た先にはきらきらと光を反射して輝く指輪が、はめられていた。 自分で付けた覚えはない。 「…………?」 指輪が、こんな大事な指にはめられている。しかし自分は付けていない、という意味の通らない状況に、黒矢はどうしようもできない。 「黒矢……? ああ、目ぇ覚めたのか」 唸りながらもどうにか話を繋げようと考えていると、寛貴が音もなく部屋に戻ってきた。 上半身は裸のままで、首にタオルを掛けていた。 ベッドの傍までくると、黒矢の顔の上に掲げられた左手に気付いた。 「あぁ、それな。俺からだよ」 「寛貴から……?」 寛貴は少し微笑んで、黒矢の左手をとった。 「クリスマスプレゼント。サイズはぴったりだったみたいだな」 そう言われれば、指輪は確かに薬指にぴったりと嵌っていた。 「あ、ありがとう……」 「喜んでもらえて嬉しい。あ、後でチェーンもやるな。学校ではそれに付けてネックレスにしたらいい」 「うん。……あ、俺も、寛貴にクリスマスプレゼントあるんだ」 喜んでいるうちに、自分からも用意してあったのを気付いて、寛貴に、部屋の隅に置いてあったバッグを取って貰う。 「んと……、あ、あった。えと、これなんだけど……」 起きあがってバッグの中を探せば、すぐに見つかった。袋に入れてあったそれは、クロスのネックレスだ。 「寛貴って、シルバーアクセが似合いそうだったから、選んでたんだ」 黒矢はにっこり笑って、袋から取り出したそれを寛貴に手渡した。 「ありがとう……。本当に嬉しい。……付けても、いいか?」 寛貴が聞けば、黒矢は頷いてみせる。寛貴は、自分の首にそのチェーンをまわして、付けてみせる。 「似合うか?」 ちり、と軽い音を立てて揺れたクロスは、寛貴の首すじに良く映えていた。 「うん。……寛貴、有り難う。俺、左手の薬指にはめて貰ったの、すごい嬉しい」 「……そう言う意味にとって、いいのか?」 「もちろんっ! ……むしろ、こっちからお願いしますみたいな……」 「メリークリスマス、黒矢」 「メリークリスマス、寛貴」 二人は、聖夜に口づける。 神に誓い合う中では無いけれど、聖夜に感謝。![]()