4.




それから部は都大会まで進んだ。
都大会の決勝では惜しくも僅差で負けてしまった。





しかし、黒矢は全4試合はでられなかったものの、1試合は途中出場、
もう1試合は完全出場をして見事その役割を果たし、部に貢献する点数を加えることができた。
そこまでの実力が黒矢にあるとは思っていなかった先輩も居たようで少しばかり驚かれたこともあったが。
それでも、少しづつではあったが自分の成長を実感していた。




8月もそろそろ終わりを迎えるところで、新学期も目前に迫っていた。
優しかった3年の先輩は、引退していた。



「俺も認められるかな。皆俺のこと『俺』として見てくれるかな」



そう考えていた矢先だった。










まだ夏休みが終わるまでは1週間あまりが残っていたある日。
いつものようになかなか激しい練習を終え、着替えもしてそろそろ帰ろうか、と思っていたとき。


「岡波、残れ」


引退した3年の先輩から引継を終えていた2年の先輩に呼び止められた。
…リーダー的な人だが、レギュラーでは無かったはずだ。
何のつながりが、とは思った黒矢だったがここで躓くわけには行かない。
これからの飛躍が自分に取っては大事。そのためには人脈だって大事だ。



「わかりました」




少し時間がたつと皆同級生は帰路につき、先輩も数える程度にしか残っていなかった。
その中に残されていたのは黒矢一人だ。


何ともおかしな光景だったが黒矢は特に気にしていなかった。






「お前、どういう神経してるんだ?」




不意を突いて先輩の一人がわけの分からないことを言ってきた。



「…どういう意味ですか?」


本当に意味が分からなかった。

むしろなぜ一人だけ残されてこんなこと急に言われなければならないのか理解できる者がいるのかすら謎だ。




「お前よ、1年のくせに生意気なんだよ」




なんとなく、予想はしていた。
自分が先輩を差し置いて良い位置に居るのだからこんなことあるだろう、と思っていた。



「でも、先生は俺のこと認めて…」



「んなことどうでもいいんだよ!! お前本当に口が減らねぇな」

「なぁ、どうする?やるか?」



周りに居た何人かが口を挟んでくる。
圧倒的不利な状況に追い込まれた。
やばい。そう思ったときにはもう、遅かった。



「やろう。コイツ、身体に教え込まねぇと絶対生意気なままだぜ」

「だよな!やっちまうか」



周りのその言葉を聞いたときには黒矢の身体はもう何人かに押さえ込まれていた。



「何するんだよっ!!」


思わず黒矢が声を荒げると、顔を平手で打たれた。
同時にそのまま床に仰向けで押さえ込まれた。



刹那の内、着ていた制服のワイシャツのボタンが外された。



「身体に、教え込んでやるよ」




背筋が、凍った。

何をされるかなんて、一目瞭然だった。